結婚から始めましょう。
「社長、奥様をお連れしました」

控室にいた蓮は、どうやら仕事をしていたらしく、タブレットを手にしていた。

「ああ。片岡さん、ありがとう」

私を蓮に引き渡すと、片岡は自分の持ち場へ戻っていった。

いつもより光沢のあるスーツを身に纏った蓮は、一層素敵に見える。思わず見惚れてしまうほどに。

「桃香」

蓮に呼ばれて視線を合わす。思わぬ熱い視線に、ドキドキしてくる。未だにこういう視線には慣れない。

「すごく綺麗だ。よく似合っているよ」

「あ、ありがとう」

蓮は私を抱き寄せると、暫くそのままでいた。

この温もりが偽りであるとは思えない。それを確かめるかのように、蓮の背中にそっと自分の腕を回した。









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