結婚から始めましょう。
「私は蓮さんのプロフィールを読んで、あなたの求めるパートナーには正直なれないのではと思いました」

暗に、蓮の条件に私は合わないのだと伝えた。

「それは、桃香さんが一人で判断したにすぎないですよね」

「そうですね。それは認めます。あなたの立場と私とでは、違いすぎますから」

そう。私と秋葉グループの御曹司である彼とでは、釣り合いが取れないと勝手に判断している。

蓮がわずかに顔を歪めた。今度こそ本当に気を悪くさせたかもしれない。でも、本音を明かさないことの方が失礼な気がした。

「私の立場とか背景とかを抜きにして考えて欲しいと言いたいところですが、それは意味のないことだとわかってます。秋葉グループの秋葉蓮として、本当の姿でここにいなければ、桃香さんが正面から向き合えないので」

私の意図はわかってくれたようだ。彼の立場を考えないようにと言われたとしても、それは無理な話だ。彼の背負っているものが大きすぎる。
だから、この話はなかったことにしてほしいと告げようとした瞬間、一歩先に蓮が話し始めた。

「私の立場や出自を知った上で、改めて私とのお付き合いを考えてくれませんか?桃香さんには私のことをもっと知って欲しいし、私も桃香さんのことを知りたい。初めてなんです。これほどまで誰かに惹かれるのは」

一体私のどこに惹かれたというのだろう。いくら仕事中の姿がって言われても、きっとカサブランカにだってそれ以上に魅力的な女性がたくさんいるはず。

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