結婚から始めましょう。
「本当に私でいいんですか?」

まるで最後の悪あがきのように尋ねてしまう。

「もちろんです。私から桃香さんを望んだのです」

「……一つだけ、いいですか?」

「はい」

「父のことがあるので、向き合っている間、浮気だけはお互いになしで。それだけは許せる自信がないので」

「もちろんです。私のような立場だと、女性に不自由しないだとかスキャンダラスなことを勝手に想像されがちですが、その感覚は桃香さんと同じです。相手を裏切るようなことはしません」

自ら追い込んでしまったことは否定できない。
私にはいよいよ了承する以外の返事は残されていないようだ。



「桃香さん」

「はい」

「私と、結婚を前提にお付き合いしていただけませんか?」

重い前提がついているけれど、お見合いならおかしなことではない。




「よろしくお願いします」




一度お会いするだけ。そんな気持ちでここへ来てしまったけれど、どうやら私の運命の歯車は動き出してしまったようだ。








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