結婚から始めましょう。
真人の姿が完全に見えなくなると、蓮は大きく息を吐き出した。心を落ち着かせると、再びぎゅっと私の手を握って私の方を向いた。

「桃香、嫌な思いをさせちゃったね。ごめん」

力なく言う蓮を見ていると、なんだか切なくなってくる。

「真人さんとは、昔から折り合いが悪くて……できれば会わせたくなかったぐらいだけど」

「蓮さん。私は大丈夫だよ。確かに、良い印象は持てなかったけど、思っていることは言えたから。それに、蓮さんが守ろうとしてくれたのも伝わったし」

「桃香……ありがとう。守られていたのは僕の方だ。桃香か隣で手を握ってくれたから、冷静でいられた。
真人さんは、昔から何かと僕につかかってくる人で、ああしていつも敵意を向けてくるんだ。さすがに僕も冷静でいられなくなってしまう」

悔しさなのか、切なさなのか、わずかに表情を歪めた蓮の手を、重ねていなかったもう片方の手で包み込む。

「蓮さん。気にしない。この後は幸太郎さんとのランチでしょ?楽しもう」

「ありがとう。そうだね」

少しだけ笑みの戻った蓮に、やっとホッとした。




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