結婚から始めましょう。
幸太郎の自宅を訪ねてから数日後。


「桃ちゃん、電話よ」

事務所で仕事をしていたら、華子から呼ばれた。アドバイザーを離れた今、名指しで電話がかかってくるなんて珍しい。

「秋葉真人さんって名乗ってるけど、知ってる?蓮さんの関係よね?」

幸太郎のお宅で対面した真人を思い出す。全く良い印象がない。一体私になんの用があるのだろう。思わず眉間にシワが寄る。
いろいろ考えてしまうけど出ないわけにもいかず、嫌々ながら受話器を手にした。

「お待たせしました、秋葉です」

名乗っただけでくすりと笑われてしまう。嫌な感じだ。

「ああそうか。あなたも秋葉だった。わかりづらいので、桃香さんと呼ばせてもらいますよ」

この人に名前で呼ばれるのは、なんだか嫌だ。言葉の端々に悪意を感じてしまう。

「何かご用でしたか?」

「ああ。蓮のことで話があって」

「蓮さんの?」

なんだろう。蓮はあれから真人の話を一切しないけど、2人の間に何かあったのだろうか?





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