触らないでよ!〜彼氏に振られたその日、女の子(?)に告白されました〜
タクシーが茜ちゃんのアパートの前に停車した。
お金を払って、眠っていたらしい茜ちゃんと一緒に降りる。



「茜ちゃん、大丈夫? 歩ける?」

「……んー」



起こされて機嫌が悪いのか、眉間に皺を寄せて唸る。

意識の半分ない人間が、こんなに重いとは。

自分と茜ちゃんのバッグと茜ちゃん本体を支えて、引きずるようにアパートの階段を目指す。



「ーーミカさん?」

「澪ちゃん、なんでここにいるの?」



ふいに呼ばれた方向へ振り向くと、買い物帰りらしい、コンビニの袋を提げた澪ちゃんが目の前に立っていた。



「え、だって私の家、すぐそこですし」



澪ちゃんが指さしたのは、茜ちゃんのところと違って灰色で無機質な四角い建物だった。

まさか後輩の隣に、自分の恋人が住んでいたとは知らずに驚く。



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