触らないでよ!〜彼氏に振られたその日、女の子(?)に告白されました〜
「どうしたんですか?」

「酔っ払っちゃったみたいで」

「運びましょうか?」



仕事柄なのか、慣れた様子で茜ちゃんに手を伸ばす。

私の肩に体重を預けていた茜ちゃんが急に顔を上げて離れた。



「いい、平気です。大丈夫です」

「あ、茜ちゃん、待って」



フラフラになりながら階段を上る茜ちゃんの後を追う。



「ミカさん、彼氏さんのところに行けばいいのに」

「うん、茜ちゃんをちゃんと見送ってからね」


ーー茜ちゃんのバッグも持ってるしね。


コートから鍵を取り出してガチャガチャと鳴らす茜ちゃんを見守る。

ドアを開けて中に入ったところでバッグを手渡した。

バツの悪そうな顔で受け取る茜ちゃんを見て少し笑ってしまった。



「ちゃんと着替えて寝るんだよ」

「わかってますよ」

「じゃ、また明日ね」

「……おやすみなさい」



ドアが閉まって鍵のかかる音を確認したところで、ふう、とため息が漏れた。

この前の私はあれ以上だったんだよなぁ。

今になって自分の醜態を恥じる。



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