触らないでよ!〜彼氏に振られたその日、女の子(?)に告白されました〜
「ミカさん」

「ん?」

「最近、ご飯食べてますか?」

「え、食べてるよ、まさに今」



いつものカフェで向かい合って座る茜ちゃんに、フォークに巻き付けたパスタを掲げてみせる。



「そうじゃなくて、朝とか夜とか、私と一緒にいる以外で」

「……んー、元々あんまり食べないからな」

「最近、澪ちゃんに会いました?」

「会ってない。忙しそうだから」



会える機会は何度かあった。
その度に私は残業だとか友達に会うのだと嘘をついた。

SARASAにも行っていない。



「ミカさん、ずっと大丈夫って言うけど、大丈夫そうに見えない。
澪ちゃんに会えてないからですか?」

「ううん」


ーー会いたいけど、会うのが怖い。


澪ちゃんは何事もなかったように連絡をくれる。
時間が経てば経つほど、電話に出た女の人が誰なのか聞けなくなる。



「今日、夜も一緒に食べませんか?」



茜ちゃんが気を遣ってくれているのもわかるから申し訳ない……。



「舞さんはほっといていいの?」

「大丈夫です、バイト始めたみたいで夜遅く帰ってくるんで」

「そっか、でもごめんね、今日友達と会うんだ」



澪ちゃんに使った嘘を茜ちゃんにも使って、あまり味の感じられないパスタを無理やり飲み込んだ。
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