エリート副社長とのお見合い事情~御曹司はかりそめ婚約者を甘く奪う~


「鈴奈ちゃん! 四宮くんと両想いになったんだって? おめでとーう! 嬉しいよ、私。昔からの友達の四宮くんと、可愛い可愛い後輩の鈴奈ちゃんがくっつくなんて……感無量!」

四宮さんの部屋に泊まった二日後。
私が出社するなり抱き着いてきた浅尾さんに驚く。あまりの勢いに後ろに数歩よろけたところでようやく足を踏ん張れた。

私のこめかみのあたりに頭をぐりぐりと押し付ける浅尾さんのポニーテールが、その衝動に揺れていて、思わず笑みがもれる。

「浅尾さん、ありがとうございます」

白いツナギに身を包んだ浅尾さんが、最後にもう一度私をギュッとしたあと離れる。
その顔は今まで見たなかで一番ご機嫌に笑っていて、つられて笑顔に……なりそうになったのだけれど。

「いやー、あまりにめでたい気分だからコマーシャルカーにペイントしちゃおうかなって思ってたとこ。〝昴貴〟と〝鈴奈〟をハートで囲むイラスト描いて街中走り回りたいなって。あ、それともバルーンにする? たしか開店セレモニーのときのが倉庫に残ってるよ。五年前のだけど、穴とか開いてなければいけるはず」

にこにこした笑顔でされた提案に青ざめる。

「や、やめてください……! あの、浅尾さんが喜んでくれただけですごく嬉しいので、そういうのは……」

本気ではないのはわかっていても、今の浅尾さんならそれくらいやりそうな気もして慌てて止める。

そんな私の制止に、「えー、そうなの?」と眉を寄せた浅尾さんだったけれど、「でもさぁ」と続けた。


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