君に恋した僕の話
朝、目覚める。朝食をとる。制服に着替えて学校へ向かう。
この作業の繰り返しを毎日続けていて飽きないわけがない。
僕はこの日常に飽きていた。
しかし、学生というものは飽きたからと言って簡単にやめられるものではない。
だから今日も満員の電車に揺られ学校へ向かっている。
僕の通う中学校の最寄りである京都駅は、家に最寄りの向日町駅から2つ目の駅だ。
電車の中の7分間は必ず小説を読むようにしていてなんでも、僕は小説が大好きだ。
学校では図書部に所属していて、基本的に休憩時間は図書室で過ごしている。
今日もこの7分という時間を読書にあてた。
満員のため狭苦しいが、構わず本に集中した。
電車が京都駅に着くと、乗客が一斉に扉から放出される。俺もその波に押されるように、階段へ向かった。
改札をくぐり、駅を出ると今度は自転車に乗り換えて学校へ向かう。
桜の花びらが舞う道を駆け抜ける。今は4月のおわり。
冬が終わり、少し気温も上がって過ごしやすくなってきた。
自転車に乗っている時間も冬ほど苦ではなくなった。
暑い季節と寒い季節は本当に大変だ。
10分程してようやく学校が見えてきた。
校門をくぐり駐輪場へ向かった。
僕達3年生の駐輪スペースは一番奥。
体育館のお陰で日は当たらない。
自転車を停め、タオルで汗を拭った。
体育館からはバスケットボールが地面を叩く音が軽快に聞こえてくる。
タオルをしまって校舎へ向かう。教室に入ると席について読書をはじめる。
話しかけてくる人はいない、これは昨年から変わらない。
僕は一人、本を読み進めた。本は一人でいる俺を孤独にしない。いわば本こそが俺の友達だ。
時が経つのを忘れ、読書に没頭していた。
そして勢い良く扉を開けて担任が入ってきた。
「おはよう!」
体育の中寺先生。生徒指導部に籍を置いており、普段から声量が大きく、もちろん怒ると怖い。
「ホームルーム始めるぞ!」
中寺先生の声でクラスの全員か一斉に立ち上がった。
よく朝からこんな大きな声がだせるもんだ。
委員長の号令でホームルームは始まり中寺先生が学校からの連絡とありがたいお話を10分程話した。
そして今日も学校生活がスタートした。
古典、数学、生物、公民というつまらない午前の授業を終え、昼食の時間が来た。
僕はいつも通り定位置の裏庭へ向かった。
木陰のベンチは春の香りが心地よい。焼きそばパンとカレーパンという簡単な昼食をとり、読書をしようと本を開いた時。
見覚えのないしおりが本から放たれ、円を描くように大きく宙を舞った。
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