君に恋した僕の話
当日の朝、目を覚ましたのは集合のちょうど1時間目前。
俺は洗面所で顔を洗い、髪を直した。
そしてクローゼットを開く。
ティーシャツとジーパンが数枚。
服のレパートリーはこれだけ。
誰かとどこかに出かけることがほとんど無いとクローゼットの中もこの有様だ。
仕方なく父親の薄手の羽織を借りてTシャツとジーパンに合わせた。
多少よそ行きの格好になっただろうか。
そして朝食をとり、家を出た。
集合の向日町駅に着いたのは集合時間の10分前だった。
「もう!遅い!」
「遅いってまだ10分前だぞ」
「あ、ほんとだ」
彼女は可愛く舌を出してみせる。
僕も思わずクスッと笑ってしまった。
僕は定期券、彼女は切符を買って改札を通った。
すると3分ほどで京都行きの電車が来た。
ちょうど2つ空いた席を見つけ、そこに座る。
いつも乗っている電車も誰かと、しかも少し気になる女の子と一緒に乗ると別の空間に感じた。
「今日は沢山買わなきゃ!服に、雑貨に、、、」
「すごく楽しみなんだな」
「もちろん!今日を逃したら次いつ行けるか分からないもん!」
彼女は子供のような無邪気な笑顔で答えた。
「そうだな、今日のうちに買えるものは買っておこう」
電車が京都駅に着くと、今度はバスに乗り換え、ショッピングモールへ向かった。
ショッピングモールにつくとそこには開店15分前にも関わらず人混みができていた。
「結構混んでるな」
と、彼女の方を見ると彼女はショッピングモールのマップとペンを握って何かしていた。
「何してんのー?」
「今日行きたい店と、買いたいものメモしてる!」
「やる気十分だな」
「まぁね」
彼女は鼻にかけるようにフフンと笑って見せた。
「開店です!」
開店の知らせが流れると人が押し込まれるように店内に入っていった。
僕達も流されるように店内目指して歩き始めた。
しかし、先程まで目の前にいた彼女が居ない。
焦って周りの人をかき分けながら彼女を探した。
すると5メートル程先に彼女の姿を見つけた。
「すみません、すみません」
完全に行列を逆走しながら彼女の元へ行き、
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