僕を狂わせるもの
あなたもまた、自分の行いを悔やみながら、それでもちゃんと前を向いて生きていた。
自分の秒刻みの命を受け入れながら。
略奪愛や不倫を肯定するわけではないけど、それに綺麗事にするつもりもない。
僕は彼女を失って、自分のしたことを顧みず、それよか棚に上げて、自分が一番不幸だと思い込んでいた。
だから余計他人が幸せに見えて、妬んだりした。
でも違った。
うまくいかないのは、自分の行いに通じることを身に染みて感じた。
人を傷つけたものに、両手放しの幸せなんてないってこと。
僕は今その報いを受けながら、
今でもあなたの匂いの残る部屋で、あなたの好きだったコーヒーを挽いている。
僕は今でもあなたを思って独り生きている。
あなたを、
今でも変わらず愛しているよ……。