青いスクラブの王子様。~私が惚れたのは、一等級の外科医だった件~

繋がれた手から彼の温もりが伝わってくると、ほっとする。

いつかテンちゃんが言った、『俺がどんなやつでも、結婚してくれるか?』って言葉。
聞かれた時は驚いて、たどたどしい返事になってしまったけれど、今なら胸を張って言える。

『あなたがどんな人でも、結婚します。一生、一緒にいようね。』

ちょっぴり恥ずかしい言葉でも、これがテンちゃんの望む言葉なら、何度だって言えるよ。


彼の横顔を見つめながら、心の中でそう囁いた。


いよいよゴンドラが頂上に辿りつこうとするが、キスをするのだとわかっていると妙に緊張して、外の景色から目が離せない。

そんな私を知ってか知らずか、テンちゃんは徐に私の頬に手を触れた。
ピクっと反応して彼の方を向くと、柔らかく暖かな表情を浮かべた彼が、「好きだ。末永く、よろしく」そう言って、私にキスを落とした。

プロポーズのような言葉と、
もう何度目かのキスは、極上ものだ。

近くなった月が、私たちを照らす。

やや長めなキスから、どちらからともなく唇を離すと、お互い背中に手を回して抱きしめ合う。


全身で感じる彼の体温に乗せ、「こちらこそ、よろしくお願いします」と、明日も明後日も、当たり前に彼と一緒にいる未来を見据えるように、呟いた。


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