青いスクラブの王子様。~私が惚れたのは、一等級の外科医だった件~



「お前かぁっ!!本社の人事に俺がセクハラしたとか言ったのはァァ!!」


は?セクハラ?部長、あんたセクハラにまで手を染めたっていうの?

しかも、それを本社に報告したのが私だって?冗談じゃない。そんな恐ろしいことするわけなかろう。
仮にセクハラされていたとしてもだよ。

全く心当たりがなくて呆気にとられていると、視界の端にふとある人がうつった。
一年目の野々宮(ののみや)さん。
彼女は私と同じく童顔で、配属されてきたときから勝手に親近感を抱いていた。

ビクビク震えていて、彼女が被害者なのだと一目でわかった。
瞳からは今にも涙がこぼれ落ちそう。

こういう時、割り切って違います、って言えたなら。パワハラ&セクハラとか、最悪ですね、とか言えたなら、どれだけ良いだろう。

残念ながら私にはそんな度胸、兼ね備えていない。

ただここで私ができる最大限のことは、
認めることだ。

部長本人も、多分人事に報告したのは野々宮さんだと分かっているだろう。
それでも私にこうして言ってくるということは、相当野々宮さんを気に入ったのか。




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