青いスクラブの王子様。~私が惚れたのは、一等級の外科医だった件~



出勤すると、オフィスの空気がいつもより澱んでいた。
嫌な予感を覚えつつデスクについて隣の同期、遠井(とおい)さんに恐る恐る聞いてみた。

「ねぇ、何があったの?なんかいつもより――」

「しっ!静かに!喋らないで!」


最後まで言う前に、顔面蒼白の遠井さんに制された。
これはただ事ではないと頷き、浪川部長のデスクを見やる。

しかしそこに部長の姿はなく、不思議に思っていると、今探していた人物が荒い足音を立てながら近づいてきた。

完璧に私に向かってきていて、ドクンドクンと鼓動が嫌な音を立てて騒ぎ出す。

仕事でミスはしていないはずだし、部長を怒らせるようなこともしていない…はず。
ともなれば、あとは単に浪川部長の機嫌が悪いのか。

彼はプライベートな苛立ちをも私たちにぶつけてくるのだから、今回もそれだろうと身構えていると、私の前にやってきて言ったことは予想をはるかに超えてきた。



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