今日から不良王子と同居します。
「さっきから考えてるだろ、俺にはわかるよ。こっちの話は全然聞いてないじゃないか」


「……違う」


「違わない。あいつが好きか?」


「えっ……そんなの」


あまりに直球な問いかけにドキッとなった。


だけど、なんて答えたらいいのかわからない。


玲生くんのことを私はそんな風に思っているんだろうか。


「どうしてすぐに否定してくれないんだよ」


彼は悲しそうに言って、顔をゆがめる。


「俺は正直、今日あいつを初めて見て焦ったよ。あんな奴が音葉と一緒に暮らしてるなんて」


「……」


「確かに、女子が好きになりそうな容姿だよな。でもただそれだけだろ?」


「それだけって?」


「あんな見た目の奴がそばにいてちょっと浮ついた気分になってるだけだよな。
あいつは口が上手そうだから音葉みたいな子をたらし込むなんて造作もないだろ。
だから、見た目に惹かれただけだろ?
そのくらいなら、べつに構わないよ」


「直政くん」


私の手を握りしめる力が一層強くなっていく。

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