今日から不良王子と同居します。
たとえ嘘でも口に出して言うのが照れ臭いよ。


そして、玲生くんは私から離れて会場の中央へ歩いて行った。


その背中をずっと目で追いかけていた。


知り合いがたくさんいるみたいで、あちこちから話しかけられていて挨拶したりしている。


なかなか、ご両親の方へはたどり着けないみたい。


そしたら、大人の綺麗な女性がいきなり彼に抱き着いてきたからびっくりした。


周りの人は微笑ましそうに笑っている。


あ、あの人は多分……。


私にはすぐに分かった。


彼女は玲生くんのお母さんだ。


きらびやかなドレスに身を包んだ驚くほど美しい女性。


白い肌、青い瞳、整った顔立ち。彼のお母さんはイギリス人とのハーフだって聞いていたから私にはすぐにその人だって分かった。


玲生くんのお母さんは目と鼻を真っ赤にして嬉しそうに彼に話しかけている。


その姿を見たら私まで、涙が出そうなくらいに嬉しくて。


ああ、よかった。彼を無理にでもここへ連れてきて。


本当に良かった。

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