今日から不良王子と同居します。
「はいそうです、兄の正道(まさみち)です」


「初めまして、大河内音葉です。今日は玲生くんについてきて欲しいと言われたので、一緒に来てしまいました」


「そうですか、ありがとうございます」


「い、いえ、こちらこそ」


それから1分間ほど、お互いペコペコお辞儀をしあって挨拶をした。


電話で何回も話していたときも感じたけれど、礼儀正しくて優しそうな人だ。


「いやあ、さっきから話しかけるタイミングを探していたんですが、玲生には目があっただけでイヤな顔をされて無視されてしまうし、ちょっと困ってしまって」


彼は頭の後ろに手をやって寂しそうに笑った。


「ええ、そうだったんですか?いつですか?」
 

「あなたたちがこの会場に入ってからすぐです」


「全然気が付かなかった、ごめんなさい」


「いや、あなたが謝ることでは。それに僕、玲生とは全然似てないからわからなかったと思うし」


「え、ええそうですね」


「あはは、よく言われます。玲生とは母親が違うんです、だからかな、あんまり似ていなくって」

< 267 / 373 >

この作品をシェア

pagetop