今日から不良王子と同居します。
にっこり笑う顔がとっても人がよさそうに見える。


確かに玲生くんとは全然似ていなくて、こういったら申し訳ないけど玲生くんのように人を引き付ける魅力はあんまり無い。


いたって普通の青年に見えた。


そっか、この人が玲生くんのお兄さんなんだ。


「あの、玲生、僕のことを何か言ってませんでしたか?
以前にもお話した通り、僕は玲生にひどいことを言ってしまって。その後すぐに玲生は家を出てしまったから」


「いえ特には、あっ、でもたしかお兄さんのことを尊敬してるって言ってましたよ」


落ち込んでるみたいで気の毒に思ったので励ますつもりでそのことを告げた。


確か、直政くんに初めて会った時にそんなことを言っていたはず。


「え、玲生が?本当ですか?そんなことを……」


彼は嬉しそうに顔をクシャッとして笑った。


よかった、少しでも喜んでもらえて。


そう思ったんだけど彼は急に表情を曇らせる。


「それなのに、僕は玲生にあんなひどいことを言って……情けないです」


落ち込んだように項垂れてしまう。
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