今日から不良王子と同居します。
こんなお兄さんならきっと玲生くんだって嫌いになんてなるわけがない。


だったらどうして、久しぶりに会ったのに無視なんてするんだろう。


可哀そうじゃない、少しくらい兄弟喧嘩したからって許してあげればいいのに。


玲生くんのお兄さんにちょっと同情してしまった。


きっと、このお兄さんとなら些細な行き違いがあったとしても、しっかり話し合いさえすればすぐに関係を修復できるはずだよ。


「あの、元気を出してください。あ、飲み物でも取ってきましょうね、ちょっと待っててくださいね」


立食形式の会場だから、自由に食事や飲み物を選べる。


たくさんの種類のお酒やジュースやデザートが所狭しとテーブルに並べられていた。


私は飲み物やらデザートを選んで、大きめのお盆に乗せて彼のもとへ運んだ。


「お嬢様、それはお酒ですが大丈夫ですか？ゼリーにもお酒が入っていますよ」


近くの給仕係りの女性に声をかけられたけれど大丈夫ですと答えた。


私がお酒を飲むつもりじゃなくてお兄さんに飲んでもらおうと思って持って行くんだから。
< 270 / 373 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop