今日から不良王子と同居します。
「はあ?べつに珍しいものなんてないよ」


「ううん、このゼリーなんてとってもおいしそうだよ、お願い食べ終わるまで待ってて」


ちょっと大袈裟なくらい甘えた声を出して玲生くんに懇願してみる。


こんな短時間ではいい考えなんて浮かんでこなかったんだけど、とりあえず時間稼ぎをしようと思った。


今帰ってしまったら、またお兄さんといつ会わせられるかわからないもん。


「ねぇ。玲生くん、いいでしょ?」


咄嗟に甘えたような声をだし、彼を上目遣いにジィッと見つめてみた。


「……」


「お願い」


顔の前で手をあわせると小首をかしげる。


恥ずかしかったけど思いつく限りの可愛い仕草を試みてみる。


こんなしらじらしい演技に引っかかってくれるんだろうか。


と半ば不安。

「そんなに食べたいんなら」


「いいの?」


「ああ」


玲生くんは思いのほかすんなり了承してくれた。


なぜか照れくさそうに瞳を揺らせているし頬も少し赤くなってる。

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