今日から不良王子と同居します。
「あの、明日香ちゃん……直政くんのことお願いします」


私にはもうこんなことしか言えない。


悲しいけれど、もうなんにも彼のためにできることはないんだなって思った。


「大丈夫、いつかまた3人で笑いあえるよ。私が何とかするから、任せてよ。音葉」


彼女はウインクして明るい太陽みたいにニコッと笑ってくれた。


「うん、ありがとう、明日香ちゃん」


彼女の優しい気持ちが伝わってきて涙が出そうになる。


明日香ちゃんは力強く頷いて、直政くんの後を走って追いかけていった。


彼らの後姿をぼんやりと見つめながら、ふたりの幸せを願わずにはいられない。


たとえ、今すぐには笑いあえなくても。


ふたりはかけがえのない私の幼なじみで親友なんだから。
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