今日から不良王子と同居します。

玲生くんと私

いつのまにか、蒼汰くんもどこかへ行ってしまったみたい。


どうしてかな、もしかしたら気を利かせてくれたんだろうか。


校舎裏には、私と玲生くんだけが残された。


「音葉さん……」


呆然としていた私に遠慮がちに話しかけてきた彼。


「保健室いく?音葉さんの口の怪我」


「私なら大丈夫」


ちょっと口の中が切れただけでもう出血は止まったみたい。


ティッシュで口についてた血を拭きとった。


「それより玲生くんの怪我の手当てが先だよ」


「こんなのなんともないから」


頬が腫れてるし、唇からも出血してる。


彼は体操服のジャージの袖で、グッと口元を拭う。


「でも凄く痛そう」


「俺はこういうの慣れてるし、それにあんなへなちょこパンチなんてきかないよ。あの人、たぶん手加減してたみたいだから」


私を心配させまいと、強がるように笑う彼。


「えっ。手加減?直政くんが?」
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