俺の宝物は、お前の笑顔。

昼飯を食べ終えて、俺は弁当を自分のバッグの中にしまい込んだ。



「宗馬くーん、次の競技も頑張ってね!」



「宗馬くん、あたし達応援するよ!」



「ありがとー、応援よろしくねー」



宗馬は、自分にそう声をかけた女子達に王子様スマイルを向けている。


訳もなく、俺が校庭の中をぶらついていると、



「わぁー、健二!」



という声がした。

まあその姿を見なくても分かるが、袖川は二つにくくった髪の毛をユラユラと揺らしながらこっちへ向かってくる。


……また来たのかよ。



「なんだよ、袖川」



「次も頑張ってね! 健二、目立ちそー。だって健二は運動神経いいもんねっ!」



語尾に音符マークでもつけてんのか、と突っ込みたくなるように、楽しげに言っている袖川。


……こいつは自分のことしか考えてねえな。


俺は、袖川を交わして走り去った。



「あれ、健二どこ行くの? 健二ーっ」



後ろからまだ声はしてくる。


とりあえず、男子トイレに逃げ込もう。


しばらく、男子トイレにいればまあ諦めてくれるだろう。




< 45 / 166 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop