俺の宝物は、お前の笑顔。

男子トイレに逃げ込んだとしても、すぐに出てきてしまってはあいつのことだから、絶対に待ち伏せをしている。


そんなことは、俺はすでに分かっている。


今まで俺は、袖川のような女子を何度も見てきたんだ。


まあ、似たような女子としても袖川ほどしつこくはなかったけどな。



「やっぱり星野はすごかったなぁー」



「そりゃ、そうだろ。そうじゃなきゃ足の速い美少女なんて言われねーよ」



男子トイレでは、仲良い奴ら同士と連んで星野の話をしている。

つーか足の速い美少女ってなんだよ、売れないマンガみたいなダッサイ呼び名は。



「誰だよ、足の速い美少女ってあだ名をつけた奴。天才じゃね? 納得しない奴いる?」



どこが天才なんだか。
マジでネーミングセンス無さすぎだろ。



「やっべ、もう時間じゃん!」



腕時計をつけている男子達が、騒ぎ出す。


俺達は、急いでトイレから出て集合場所へと向かった。




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