俺の宝物は、お前の笑顔。

よし、話しかけてみよう。
小さい頃からママによく言われているように、ニッコリ笑顔でご挨拶。



「高畑 健二くん。わたし、星野 ゆりあ。よろしくね!」



そう言ったけれど、当の彼は横目でちらりとあたしを見ただけで、何も言ってくれない。


……って、何この人。
人に挨拶されてるんだよ!?



「って、話しかけてんのに、知らんぷりしないでよ!」



「うるさいなぁ。俺、人と話すの好きじゃないんだよ。疲れるし。特に声がバカでかい奴とか」



「声がバカでかい?」



「お前だよ。とにかく長話は、やめてくれよ。で、何の用?」



別に特に用はありませんし、先ほど言った通りですよ?



「え? ただ、『よろしく』って言いたかっただけなんだけど」



「いや、そんなつまんないことで?」



「『つまんない』って……。『よろしく』って挨拶は大事でしょ」



「はいはい、分かったよ、よろしくな」



みんなは一体どうして、こんなのと隣になりたかったの!?
思っていたより、全然いい人じゃなかったじゃん!




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