シークレットガール
「第10章」
次の日、私は授業に集中しようとしたが、美波のことがとても気になって、集中することができなかった。
私から聞いてみる? 結局どうするのかって? 言えないな。今美波とちょっと気まずいし、正直どう接すればいいか分からない。
いや、ずっとこのままっていうのも嫌だし、ここは私がどうにかするしかない!
チャイムが鳴る。もう昼休みだ。私は美波の席に近づき、美波にそっと話しかけた。
「あのさ。ちょっといいかな?」
美波は「例の件?」と、少し警戒しながら、そう聞いてきた。
「そうだけど、ダメかな?」
私が自信なさげにそう聞くと、美波はしばらく黙り込んだ。何も言わず、ただ時間だけが過ぎる。
多分今を逃したら、もうチャンスはない。そう思い、
私は覚悟を決め、美波と目を合わせては、ゆっくりと口を開いた。
「あ、あの! 私、美波とずっとこのままなんて嫌なの! だから例の話受けてほしいの!」
私は少し間を置いてから「どうかな?」と、少し不安げにそう聞いた。
「わかった。」
美波の口から出たのはその言葉だった。
「いいの?」
私は込み上げる嬉しさを必死に抑えながら、そう聞いた。
「監視役、要るしね。」
美波は少し間を置いて、「それにさ。私だってあんたのこと、失いたくないから。」と、恥ずかしそうにしながら、そう言った。
「美波、ありがとうね。」
私はそう言って、そっと笑った。よかった。心の中に安心が広がっていく。ずっとそこにあった不安は失せ、そこにあるのは嬉しさと安心だけ。
「じゃあ仲直りもしたし、ご飯一緒に食べる? もう時間あまりないけど。」
美波が笑みを浮かべて、そう聞いた。
「うん、じゃあ早く食べちゃおうか!」
私はそう答え、自分の椅子を美波の机の方に置いて、弁当を出す。そして慌てて弁当を食べていく。
ふと美波の方を見ると、美波も慌てて弁当を食べていた。よかった。
「うん? どうしたの? 早く食べないと、昼休み終わっちゃうよ!」
美波は、箸を持って弁当を食べていた右手を止めて、私を方を向いてそう言った。
「なんでもないよ! さあさあ、早く食べよ!」
「あ、うん。」
美波は、まだ納得してないように見えたが、やがて右手に持った箸でまた食べ始めた。
今日はいい日だ。うん、とてもいい日。でも、検証の方は、少しやり方を変えないとな。
やっぱり彼のことは信用できない。何とかしなきゃな。
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