終わりから始まる恋

クリスマスイブ。

街は赤、緑、白で彩られている。
どこへ行ってもクリスマスソングが流れているし、紙袋を持っている人で溢れていた。

浮き足立つ気持ちを抑えながら仕事に励む。

定時が近づく。

「せんぱーい！今年も俺と呑みにいきましょうよ！」
そう誘ってくれたのは後輩の遠藤だ。

遠藤とは妙な事に毎年、イブの日に呑みに行く仲になっていたのだ。
２つ年下だが気が合いよく面倒を見ていた。
遠藤は見た目通りチャラチャラしていて、クリスマスに特定の人と遊ぶことはしていないらしい。
どうしてかと一度聞いたことがあるが、本命がいないのに女の子と会っててそれを他の子に見つかったら面倒くさいでしょ？と答えていた。
同様の理由でクリスマス、バレンタインなどのイベント類は女の子と会う予定は入れないらしい。

「いや、今年は無理だ。」
そう俺は返した。

遠藤は驚きながら
「えっ？先輩、彼女できたんすっか？」
「ああ。」
「まじっすか？あの先輩が？！先輩も俺と一緒で彼女作んなかったじゃないですかー。てか、教えてくれないなんて水臭いですよ！」

いやーまさか先輩がなあ〜と遠藤は呟いてた。

「ということで俺は帰る。おつかれ！」
そう言うと俺は仕事鞄を持った。

「今度、彼女さんのこと詳しく教えてくださいよー」
そう言う遠藤に手を挙げて了承した事を告げ、仕事場を後にした。

そして俺は待ち合わせの場所に向かった。