愛は惜しみなく与う⑦
というよりも…


お母様は私の死を受け入れない



分かってたのにね
全部全部全部

壊れて仕舞えば良いと思った



「私は…私がいなくなった東堂が、潰れれば良いと思った。お母様も使用人たちも皆んな……後悔すればいいと思った」



私は知ってた
あの家で私を愛してくれてたのはお母様だけだと言う事を。

あの家にいた使用人は全員……お姉ちゃんの事が好きだった。

お姉ちゃんは気付いてないだろうけどね。


お姉ちゃんは使用人にも優しかったから。お母様がお姉ちゃんにあんまり構うなと言ったから、構えなかっただけだと思う。

当たり前だよね

私は立場を利用してしか、話さなかった。でもお姉ちゃんは、立場とか気にせずに、誰とでも話す人だったから。


だから…
私が東堂家に未練があるとすれば、お母様だけだったの。

後継者だったくせに、家を守る事をやめた。

そこで生きる人のことを、一度も考えなかった。

私は所詮そんな奴だ


だから、ひどい事が出来てしまった。
本当に殺してくれればよかったのに。そんな風に思ってしまう。
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