愛は惜しみなく与う⑦
「母上が……母上が、あたしが死ねばいいって言ったくせに!!!!!死んだのはあたしやって思い込んで、ただでさえ小さかったあたしの存在を、あんたが潰したんやろ!!!」
涙が止まらない
なんやこれ
あたしは何にこんなにキレてるんやろ。
早く違う人がでてきてくれと祈って目を閉じる。さっきから代わる代わる人が前に現れるからさ。
早く居なくならないかなって思って。
目の前のこの人が
早く消え去ってほしい。
でも消えてくれない
『ごめんなさい』
さっきからずっと謝られてる。
なんやろ。何も感じひんくなってきた。
母上は動かない
離れよう。ここから
草原を歩き回って母上から離れようとするけど……なんともまぁ距離が開かない。
はぁ。
「なに?話せってか?」
『生きて、杏』
なんて顔してるねん
そんな顔……鈴にしかみせへんかったやん。
ん?
鈴?
あたし、誰の名前を呼んだんやろ。鈴って誰やっけ?
なんで母上のことしか分からへんの?