愛は惜しみなく与う⑦
「昴、頼むわ」

わかった。そう強く頷いて、みんなをこの部屋から外へ出してくれた。

敦子も美奈子も悟ったのか、あたしの頭にそっと手を置いて、2人とも昴の後について行った。


「……妹は?」


「鈴は、こっち。サトルと話さなきゃいけないから」


あたしがそう言うと昴は再び前を向いて歩いた。

よし


これでみんなの安全は保証された

残るは、ここにいる志木と泉と、あたしと鈴



鈴にサトルと話せるか聞こうと思った。
もしかしたら…サトルに何も聞かされてないかもしれへん。

襲われたことも何もかも


鈴に刺される前に話した志木は、鈴はただサトルに捨てられただけだと思っていると、言っていた。

あたしが襲わせたと言っていたのは、鈴やから。

何も知らずに居ると思う。


ただこんな事になって不安で、久しぶりにみたあたしに縋ったのかもしれない。

きっとそうやと思う


鈴をさらに苦しめる事になるとは思う。真実はとても、残酷やから。

でも

知って強くなってもらわなあかん。

これからを生きるために。
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