愛は惜しみなく与う⑦
鈴に話そうとしたその時

ドカッと後ろで大きな音がなった。
鈍い…音

振り返れば、泉が壁にぶつかり崩れ落ちる


もう、限界か


志木も傷口を押さえてる。



タイムリミットや


「待てる?」

鈴にそう聞くと、コクリと頷いた


猛ダッシュで泉の元へ

無駄にでかいこの部屋
元々手術室が並び、廃れて廃屋になり、誰かがしたのか、間の壁は無くなり、柱だけ残されて、一つのかなり大きな部屋になっている。

その部屋に
 
みんなの息遣いだけが反響する


「あれ、人が居ないじゃん」


殴り合いに夢中だった3人は、朔や昴がいなくなってる事に今気づいたようだ。
その中でサトルだけ、特に息も切れた様子もなく、ケロリとしている。

せやねんな


武器を使うようなやつやけど、サトルは素手でもかなり強い



「志木、まだ大丈夫?」

「はい、大丈夫です」


即答かいな。絶対傷口やばいやろうにな。でも少しだけ無茶して


「泉と話したいし、1分でいいから耐えて」


「貴方のためなら」


まぁ、志木なら耐えるでしょう。サトルもあたしが戻ってきた事によって、動きが止まったから。

少しだけ…

時間をちょうだい



「泉、どこが痛い?」

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