愛は惜しみなく与う⑦
最初で最後?



「都合良すぎやろ」



我慢できなかった。思っていた感情が爆発しそうでぐっと堪える。じゃないと、酷い言葉を浴びさせそうやったから。


「都合いいわよね。ごめんなさい」


「違う」


別に都合よくてもいいねん。あたしだって都合よく生きてきたから。そうじゃなくて…



「きっかけが今なら、もっと他にあるやろ!!なんで最後なんてゆうねん!!あたしは……あたしは…ここから始まればいいと思った。だから元気になったら会いに行こうと思ってた。これからを…夢みたのに!!やのに母上は……お母様は、またあたしを突き放した」


くそ

涙をゴシゴシと服の袖でぬぐう

泣かへん



「お母様の話したい事がこれなら、もう結構です。わかりましたので。もう…大丈夫です」


あたしが望んでた話じゃなかった

こうやって向き合ってくれたなら嬉しいけど


でもやっぱりあたしは


お母様の中には居続けられない



距離を置くために、お母様から母上に呼び方を変えた。お母様は親しみが込められてる気がしたから。

あたしは親しみを込めれるほど、親しくもなかったから


「杏、ちがうの」

「違うくない。もうわかった。謝ってくれなくていい。その時じゃないんやから…今更謝られてもピンとこん」
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