愛は惜しみなく与う⑦
ただ羨ましいと思った。

鈴はこんな風にお母様に笑かけられてるのかって知ったから。
それをあたしに向けていた愛だとしても


あたしは分からん


でも一つはっきりしてる事がある。

過去はもういい。なんでって言いたくなることは多かったけど、それでももういい。


あたしは未来しか見てないから





「あたしはそれなりに賢かった。小さい時に気づいた。ここはあたしの場所じゃないって。あの頃は死にたかったし、お母様も鈴も嫌いやった。

でもな?あたしな、自分以上に愛せる大事な人たちに出会えてん。その人たちのおかげでな?


あたしは過去も…少し愛せるようになったんやで」


泣きそう

でも、お母様が何を言おうが、自分の言葉で話せてる今、あたしにとって大きな進歩や


「あたしはその人達と同じ時間を過ごして、たくさん笑ってたくさん泣いて…無償の愛を知った。見返りなんて求めずに、ただ与える。それが出来るようになった。

だからあたしは、お母様も鈴も、まだちゃんと、愛してるよ。何を言われようとも血の繋がった家族やから。別に愛が返ってこなくてもいいねん。すごく東堂は苦手であたしにとっては息苦しい場所やけど、、、

それでも、生まれた場所で、沢山の想いが詰まった場所やから。


東堂が在り続ける限り、あたしは与えようと思う」
< 354 / 404 >

この作品をシェア

pagetop