愛は惜しみなく与う⑦

人はどうしても見返りを求めてしまうもの

正直気を抜いたら、あたしはすぐ見返りを求めてしまう。
でも今そうならないのは、沢山の人があたしに見返りを求めずに与えてくれたから。

沢山の愛をくれたから


だから今度はあたしが、与えられる人になりたいと思った


「与えられる人になれれば、自然と与えてもらえるねん。そうやって優しい幸せの連鎖がくるくる回ってるねん。あたしはその幸せな連鎖の中に居る。

だからもう、昔のことは言わなくていい。あたしは…これからを生きていきたい」


クソ生意気なこんなこと、母上に言うことなんて、一生ないやろな



「私より強くなって……強くならなきゃいけないように追い込んだのは私ね」


お母様はそのまま立ち上がりあたしの前にきた。

その姿は少し痩せていて、あと一歩で精神的にやばくなりそうな、そんな雰囲気

でも力強く言った



「気持ちを話すよりも先に、もっと…言わなければいけないことがあった。聞いて欲しいことがあるの。 

お父様のことで…言わなければいけないことがあります」


え?
まさかやん

お父様のことが出てくるとは思わなかった
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