冬の花
『それで、わざわざ俺に連絡して来て、
俺に何を伝えたいの?』

その言葉に、私は覚悟を決めた。

「私の父親を殺してあの湖に棄てたのは、
私なんです」

その言葉で、電話越しでも阿部さんが驚いて息を呑むのが分かった。

目の前の鳴海千歳も、
驚いたように私を見ている。

「あなたが思っているように、私が殺しました。
だから、明日の舞台挨拶が終われば自首しようと思っています」

このK県に来てから、
そう考えていた。

ずっと怖くて決断出来なかったけど、
阿部さんとこうやって話せて、
覚悟が決まった。

「私、今K県に居るんです。
新しい映画の公開舞台挨拶の為。
だから、明日の仕事が終わればK県警に出頭しようと思っています。
だけど、その前に…。
どうせなら、私を一番怪しんでいるあなたが私を捕まえてくれたらいいのにって思っています…。
捕まえに来て下さいよ?」

私のこの手に手錠を掛けるのが、
他の誰でもない阿部さんならいいと思う。

『なら、父親をどうやって殺したの?
そして、どうやってあの湖に運んだの?』

私のお願いに言葉を返さず、
阿部さんはそう私に尋ねた。

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