結婚はあきらめ養子を迎えたら、「お義母様大好き」と溺愛されています
 ルイードが、私の手をつかんで引っ張った。
 殺される!
 玩具どころか、私は、ルイードにとって虫けらのような存在だったのね!
 強い力で腕を引っ張られ、そのままソファに座るルイードの上に倒れこんだ。
 太い腕が背中に回る。
 このまま、絞殺される!
 っていうか、なんで、殺されようとしてるのに誰も助けてくれないの?セバスぅ……は、領地視察で持って帰ってきた書類を早速仕分けなどしてくれてるか。ハンナぁ……は、骨折で療養中。メアリー……はお茶を運んできた後カートを下げてお菓子の準備中。
 他の侍女は?護衛は?ねぇ、ちょっと、いくら相手が王弟殿下だからって、私を見殺しにするなんてひどい!
「莫迦か。結婚すれば、俺がロマルク公爵だろう?」
 へ?
 結婚?
「だから、それは、何度もお断り」
 絞殺されるわけじゃないと分かって、体から力が抜ける。
 だらりと、体重をルイードに預けると、ルイードはそのまま何も言わずに私を膝の上にのせている。
「だから、状況が変わっただろう。ロマルク叔父だって、今なら俺とリーリアとの結婚に反対はしないさ」
 は?
 それってどういう意味?
 もう30歳になって行き遅れた私に求婚するありがたい存在を断るようなことはしないってこと?

 むぅー。お父様はそんなことしないはずよ。生きてたら、やっぱり、娘を虫けら呼ばわりする男の嫁になどできんっ!って言うはずよ。
 あれ?私、ルイードから虫けらって言われたっけ?
 まぁいいわ。
「兄上……第一王子派と、第二王子派……つまり俺と、時期王位について貴族たちがもめていたころは、いろいろと問題があってリーリアと結婚したくてもするわけにはいかなかった。ロマルク叔父も、いろいろな問題を分かっていて断るしかなかったのだろう……俺がリーリアと婚約すれば、一気に第二王子派が勢いづいて国が混乱しただろうからな……」
 なにそれ。
 なにそれ。
 そういうことを平気でいうから、ルイードは嫌い。
「私、イチゴが大好きなんです」
「おう、知ってるぞ。人参が嫌いなんだよな?」
 やっと床に足をしっかりつくことができ、バランスが悪いながらもルイードの体を両手で押しのけ立ち上がる。
 ルイードがニヤニヤと楽しそうに笑った。
「イチゴが好きだから、ケーキを食べるときは、最後の楽しみに残しているんです」
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