結婚はあきらめ養子を迎えたら、「お義母様大好き」と溺愛されています
「リーリア、お前はロマルク叔父のように、塩をまけと言わないんだな」
「せ、せ、セバス、塩、塩!」
「あはははは。じゃぁな、リーリア」
 ルイードが私の頬にキスを落として帰った。
 は?
 え?
 頬に残るぬくもりに手を当てる。
 ……キス?
 え?
 あれ?
 ……。頬にキスをされるなんて、お父様が亡くなっていらい誰にもされたことが無かった。
 そう、家族と呼べる者がいなかったから……。
 だけれど、きっとルイードは私の兄のつもりでずっといたのだ。家族として私にキスをしたかったけれど今まではお父様が睨んでいたからできなかっただけなのかもしれない。

 ルイードは、本当に、私のことをずっと家族だと……弟だと思ってたんだ。
 って、弟かよ!そういえば、7歳くらいのころに、木刀を持たされたことがあった。お父様とルイードが剣を交えて稽古をしていたから。それをずっと見ていたら「リーリアもやりたいなら稽古をつけてやる」とかなんとか言って……。
 まぁいいわ。弟だと思われたとしても、家族だと思ってくれてたのは素直に嬉しい。
 きっと、騙されてるんじゃないかとか、ごちゃごちゃ口うるさいのも、家族として心配してくれているんだ。
 まぁ、うん。そうよ。お兄様なんて大っ嫌いみたいな嫌いよ。結局。
 求婚をしてくる他の貴族への嫌悪感みたいなものとは全く違う。……本当は好きなの。いっぱい恨み言はあるけれどね。嫌いにはなれないの。
 いっぱい根に持っているけどね。
 いつか、ルイードの好物を目の前で食べてやるんだからっ!
 ……あら?ルイードの好物って何だったかしら?
 おっとこうしてはいられないわ!
 玄関でお出迎え、お出迎え。
 本来であれば「アルバート坊ちゃま(仮)がお帰りです」とかなんとかセバスなりメアリーなりが知らせてくれるんだろうけれど。
 王弟殿下が帰るためのお見送りで出払っている。
 ので、玄関で待つことにした。
 そわそわ。
 そわそわ。
 朝の失態……アルバートにハグされて思わず体が固くなってしまったことを取り戻して、私はアルバートのお義母さんになるのよってことを伝えないといけない。
 自然に、自然に、おかえりなさい、ぎゅっっと。
 家族っぽく、自然に。
 ……ううう、緊張しますわ。
 (天の声*自然になんて考えれば考えるほど……察し)
< 60 / 90 >

この作品をシェア

pagetop