結婚はあきらめ養子を迎えたら、「お義母様大好き」と溺愛されています
 あれ?何か間違った?
 ……えーっと。
「あ、あ、あ、あ、あ」
 アルバートが口をぱくぱくさせて何かを言おうとしている。
 考えるのよ、リーリア。
 私、何か間違ったみたい。
「い、行きま……しょ……」
 ん?行く?
 ああ、そうね。いつまでも玄関って変よね。
 疲れて帰って来ただろうに……。
「そうね」
 体を離してにっこり笑いか……って、あっれぇ~?
 アルバートが私の手を取り、手の甲に口づけして……。
「ご、ご、ご、ごめんなさいっ!」
 うわー、大失敗。
 これじゃぁ、私がアルバートを従えているみたいじゃない。跪かせてるみたいじゃない。
 私が忠誠を誓わせているみたいじゃない。ああ、そういえば、プロポーズするときにもこういう習慣あった?
 ってか、違う、とにかく、これ、親子の立ち位置じゃない。
 慌ててしゃがみ込んで、アルバートと目線を合わせる。
「あ、あの、その、こ、こ、子供を抱っこするってどんな感じかと、えーっと、ほ、ほら、アルバートは背が高いから、えーっと、ごめんなさい。そうよね。主従関係でもないのに、そんな恰好させられたら、ビックリしちゃうわよね?」
 慌てて言い訳を口にすると、アルバートが真っ赤な顔をした。
「こ、子供……」

「あのね、行ってきますとアルバートが抱きしめてくれたでしょう?だから、帰ってきたら私が抱きしめてあげようと思ってたの。でも、なんだか、私が子供みたいにアルバートに抱きついてるみたいだなぁと思ったから、ごめんなさい」
 と、素直に全部白状すると、アルバートがふっと息を吐きだした。
「子供みたいに……僕に抱きしめられればいいんですよ……」
 小さな声で何かをつぶやいているけれど聞き取れなかった。
「来客があったようですが」
 アルバートが何事も無かったようにニコリと笑ったから、跪かせてしまったことを何とも思ってないようでホッとする。
「来客?……客っていうか、あれは、客扱いもしたくないわね」
 ルイードの顔を思い出して顔をしかめる。
「え?それはどういう……リーリア様にそんな顔をさせるなんて」
「親戚筋の人間で、結婚しろと言いに来たのよ。何度もうるさいんだから」
 アルバートがふっと笑う。
「心配せずとも近く問題は解決すると……僕が貴方と……一緒に……」
 家族になるのよ!
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