ベルガモの棘
頭では理解していた

貴方の手をとってしまえば

後戻りできないことを、

でも 

貴方を好きになってしまったんだ

そんな私は

幸せになれるのでしょうか
.....................................................................
登場人物
会社員 23歳 独身 粟野まり
↑不倫相手
部長  27歳 既婚 日高玄人
↓奥さん
部長の奥さん 25歳 既婚 日高沙織

まりの親友 会社員 24歳 彼氏持ち  袴田遥

まりの幼なじみ 会社員 23歳 奥坂蓮



......................................................................
ギュッ

"愛してる"

彼は私を抱き締め   

耳元で囁いた。

『また来るから』

そう言い残して彼、

日高玄人は私の部屋を出て行った。

さっきまであれ程

私を求めてくれていたのに

まるで嘘みたい...

彼には愛すべき人がいる。

こんな関係許される訳がないと、

頭では理解している。

でも私は彼を

どうしようもない程愛してしまった。

"ベルガモの花"

もしかしたら私達は

その花の棘に絡まってしまったのだろう。
 
彼との出逢いは、

今の会社に初めて出勤する日だった。 

ずっと就職したかった会社の最終面接にも

無事合格し、嬉しかったのも束の間。

いざ会社の目の前に立つと

不安から足を踏み出せずにいた。

そんな時、

『どうした?大丈夫か?』

と声をかけてくれた人がいた。

その人こそ私の愛してやまない人、

日高玄人だ。

第一印象は

背が高くて大人の余裕がある人だなと

思った。

「大丈夫です。ただ今日が初めての出勤な
ので緊張してしまって...」

そう話すと彼は

『ねぇ、手出して』

と言ってきた。

私は突然何だろうと思いながら

手を出すと、丸々とした物が

手に落ちてきた感触がした。

それは"飴玉"だった。 

『これ食べて緊張をほぐしな。じゃあ俺はもう行くから。頑張れ』

そう言って彼は会社に入ってしまい、

お礼を言いそびれてしまった。

私は彼に貰った飴玉を口で転がし、

また会えると良いなと思った。

飴玉はいちご味の甘酸っぱさで

口の中が満たされた。

私は希望通り営業部に配属された。

営業部の人達に挨拶をしている時、

飴玉をくれた男性を見つけた。

彼も私がわかったようで

笑いかけてきてくれた。

「今日の朝は色々とありがとうございました。これから宜しくお願い致します。」

『役に立てて良かったよ。俺は日高玄人。営業部の部長をしている。宜しくな。』

そう言った彼は

やはり大人の雰囲気を醸し出していた。

〔袴田遥です。これからまりちゃんの教育係を担当します。よろしくね。遥って気軽に呼んでね。〕

遥は一歳しか変わらないのに大人びていて

頼れる先輩であり親友だ。

遥にはどのような悩みも相談できる程

信頼していた。

約1ヶ月後、新入社員歓迎会があった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初めまして、姫花ゆりです。
読んで下さり有難うございます。

天使の国~天使の国からの脱走~

という小説も是非読んでみて下さい。
お願い致します。
< 1 / 22 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop