片桐くんの愛は意外にも一途でした
神楽は何でも気軽に話せる相談相手でもあり、私が今のところ唯一、心を許してる相手でもある。


だから、私が本当は陰キャだということも知っている。


神楽はイケメンで、女子のファンクラブも多い。身長180超えで、しかも御曹司。


成績も私よりは低いものの、常に10位以内に入ってるトップクラス。


こんなに高スペックな神楽が、こんな私と話してて楽しいのかな?って、時々疑問に思ったりすることも。


もちろん、口にしたりしないけど。


「もしかしたら、そのチャラ男が実は幼なじみだったりなんてこともあったりしてな」


「……冗談言わないで。初恋の男の子は、もっと素直で笑顔が素敵な人だったの」


曖昧な記憶を必死に思い出しながら、私は神楽にそう伝える。


「ごめんごめん」


ちなみに、神楽には幼なじみのことも話している。


「意外と俺の勘って当たるんだよな。1年最初のトップだって見事に当たっただろ?」


「……それはたまたま」


確かに、神楽は妙なところで勘が働く。今までだって、色んなことをことごとく当ててみせた。


それは予知能力でもあるんじゃないかってくらい的確に。


「まぁ、俺的には幼なじみのことは早く忘れて次の恋にいってほしいんだけどな。例えば、俺とか……」


「前にも言ったと思うけど、もう恋はしないって言ったはず。神楽、最後なんて言ったの?」


後半につれて神楽の声が小さくなっていって、最後は何も聞こえなかった。
< 10 / 66 >

この作品をシェア

pagetop