片桐くんの愛は意外にも一途でした
「それが天才だとか真面目だって言われてる原因かもしれないぞ。たまにはさ、自分から同性に声かけてみたらどうだ?」


「そんなことができたら、最初からしてる……」


私はしょんぼりと下を俯く。


「わるかったって。でも、不思議だよな。俺の前だと、こんななのに。どうして、陽キャだって思われてるんだ?」


うーんと首を傾け、考えるポーズをしている神楽。


「それは私が一番知りたい。恋はもういいけど、女友達くらいは少しは欲しい。やっぱり、鏡の前や、ぬいぐるみを使って予行練習でも……」


「お前って、変なところで真面目だよな。それにしても、メガネ外すとお前って……」


「……なに?」


ジッと顔を見つめられた。なんだろう、顔になにかついてるとか?


「……やっぱり、メガネはかけたままでいてくれ。俺の前だけは気を抜いてもいいから」


「言われなくてもそうするつもりだけど。気を抜く?そんなに肩に力入ってた?」


「あー……雨音がチャラ男に勝てない理由がなんとなくわか……!?」


「テストは3年まであるの。まだ勝てないって決めつけないで」


私は神楽に近づく。


自分でいうのはいいけど、やっぱり相手にそれを言われると、少しイラッとしてしまう。


相手に当たるなんて、これはよくない癖だから、早くなおさないと。


負けず嫌いな性格になったのは、確実に片桐くんのせいなんだけど。
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