片桐くんの愛は意外にも一途でした
放課後は女の子たちと遊ぶために帰宅部らしいけど、私はそんな片桐くんに、成績で一度も勝てたことがない。


それが、死ぬほど悔しい。一体、いつ勉強しているの?


それなのに、毎回余裕そうな顔で私よりもいい点を取るから、それがさらに私のイライラの原因になっている。


私がなんでこんなに片桐くんに詳しいかって?


こんなルックスをしていたら、女子は黙っていないし、嫌でも視界に入ってくるし、風のウワサは聞きたくなくても聞こえてくるわけで……。


私が片桐くんに恋心を抱いているなんて、そんなことはない。


そんな片桐くんに、おめでとうなんて言わない。というか、言いたくない絶対に。


私は片桐くんを、ガルルと威嚇したような犬のような眼差しで見つめる。


眼差しというよりは、殺気のほうが近いかもしれない。


「1度くらい、おめでとうって言ってくれてもいいんじゃない?俺たち、去年も同クラだったわけだし」


「誰が言うもんですか」


そういって、プイッとそっぽを向く私。
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