片桐くんの愛は意外にも一途でした
「あれ?九条さん。今回も2位だったの?おめでとう。毎回、血のにじむような努力をしてるんだろうね」


「……片桐くんは、今回も1位だったみたいね」


隅っこで膝を抱えているところを見られたくなくて、彼がこっちに来る直前に、スッと立ち上がる。


私は少しイラッとしながらも、近付いてきた彼と会話をする。


小馬鹿にしているつもりはないんだろうけど、相変わらずニコニコと笑う姿が今の私にはとてつもなく不快だ。


彼は、片桐昴(かたぎり すばる)。身長177cm。


成績が良いだけじゃなくて、運動神経抜群。彼が道を歩けば、女の子たちが二度見、三度見するほどのイケメン。


片桐くんは自分をイケメンだと自覚しているのか、甘い言葉を囁いては女の子を口説いている。


私が覚えている限りでも両手で数えるくらい、彼女は頻繁にかわっている。


見た目だけならイケメンだと思うけど、中身がこんなにチャラ男なら私はすごく苦手。


出会ったころは、私だって、多少はカッコいいなと思った。でも、性格を知った今ではそんなことは思ったりしていない。


絶対と言い切れないあたりが駄目な気がするけど。
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