青空が君を笑顔にするまで

「ああ、呼ばれて、体育館の裏にいた」


「誰に?」


「蘭に……」


「蘭って……、山崎 蘭?」


「うん」と仁が頷いた。


「もしかして……。仁、その時に告白されたの?」


「いや。ラインを教えて欲しいって言われただけだよ」


「で、ライン、交換をしたの?」


「ああ、卒業式だし。もう会えなくなるから」



「山崎さんとは今もラインをしてるの?」



「時々。今度、久しぶりに蘭と二人で会うんだ」


「仁から、会おうって、誘ったの?」


「違う。……蘭から」


「そう。会うの楽しみ?」


「まあ、……うん。蘭とは高校が別になったから」


「……そうなんだ、良かったね」


今私は仁と二人で会っているのに、わざわざそのご報告を──。


寂しくなった。


まるで、喜びの頂点から崖に落とされたような気分だった。


仁に少しがっかりした。

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