青空が君を笑顔にするまで
・第十七章

9月初旬。


木々の葉の色が変わり始め。


読書をするのに心地良い空気が流れる。


秋空が綺麗な日曜日の午後。


よく来る公園のベンチに私と仁は並んで座っていた。


「これからも、ずっと俺の隣で、こんな風にいて欲しい──」


私は仁にプロポーズをされた。


私はずっと仁にまだ話してない事があった。


大切な話。


私の返事を待っている仁の顔を見上げて、見つめた。


このタイミングの時に言うのは本当はどうかなって……思ったけれど。


何度も深呼吸をして息を整え。


私は自分の下腹部に手をそっと当てた。


勇気を振り絞り、私は高校2年生の時の話を仁にした。


右の卵巣をなくした話。


「実は、高校2年生の時、私は右の卵巣を摘出したの…………」


聞き終えた仁は時が止まったかのように表情が固まっていた。


それは、驚くよね。


ビックリするよね。


だって、私はこの事を話すのが初めてだから。


「仁、それでも……、私でいいの?」


仁の返事が返ってくるのが恐くて。


こらえている涙が溢れ出しそうで。


ドキドキと早く動く心臓の鼓動が自分の体中に響く。

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