青空が君を笑顔にするまで

仁は何も言わずそんな私を優しく包み込むようにぎゅっと抱きしめてくれた。


仁が私の瞳をしっかりと見つめる。


「卵巣が片方なくなっても、お前はかけがえのない俺の大切な人だよ……。何も変わらないよ」


「…………仁」


止めようと思っても、止まらない私の涙。


「それじゃあ、俺はお前が悲しそうな顔をした時、いつも笑っていてくれるように青い空になる。


もしも、辛い事ばかりが起きた時は俺は闇の中で一筋の光になる。だから、俺を信じて──」


「うん」


──はい。私、仁の妻になります。


仁からのプロポーズを私は受けた。


左手に輝く指輪、私はもう一生はずさないつもりだからね。


ハル26才、仁27才。

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