恋愛イデアル続編
花咲く乙女の影に
[花咲く乙女の影に]

風が吹いている。
それが街を吹き抜ける。

そう長月遥は感じる。デニムのジーンズ、カットソー、サングラスに黒い絹の帽子だ。

水守市を徒歩で進む。春昼(しゅんちゅう)である。
整えられた路地には住宅があり軒先に鉢に草花が植えられ赤や青、むらさき、ビンク、黄といった色とりどりの花を咲かせていた。

で、たとえば連子窓(れんじまど)がきれいさね。

草花が揺れている。車が通らない路地に長月遥がいる。
と山道が見える。

今日は山道を歩こう。丘陵をかけのぼる。
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