君は無垢なフリをして​───本当は野獣。
「は…?」


「あぁ、悪い。あんたが花菜の祖父さんに似てたからつい、な。気にしないでくれ。…で?花菜の彼氏か?」


「はい、えと…なる予定です。」


「…予定?」



椅子に腰かけた父さんは、中野 神弥の曖昧な返事に怪訝な顔をした。



「俺は真剣に好きです。が、花菜さんの気持ちは聞いてないので。」


「…あぁ。」



ちょっと、父さん!


そこで納得しないで!



「…いいじゃないか、予定。頑張って花菜を落とせよ?俺に似て素直じゃねぇから、大変だろーけどな。」



ふっ、と楽しげに笑う。


…父さん。


んなアバウトでいいんすか。



「はい。これから頑張って落とします。」



そう言って笑った中野 神弥の笑顔は、私が一目惚れをしたあの笑顔で。


ドキドキと高鳴る心臓に、私は確信してしまった。


私も…中野 神弥を好きなんだって。
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