君は無垢なフリをして​───本当は野獣。
好きだから…


あの平塚さんと中野 神弥が一緒に居たのが悲しくて。


〝出てけ〟って言われて辛かったんだ。


好きじゃない、って意地を張ってたのは、中野 神弥が他の女の子と仲良くしてたのに腹がたったからで。


つまりは…


私はずっと中野 神弥に恋してたんだ。



「花菜、帰ろ。」


「う…ん…」



何だか急に、握られた腕が熱くなってきたような気がする。



私と中野 神弥は母さんたちに見送られながら、互いに無言で玄関を抜けた。



「【…っ…誑し!!】」



………誑し?



「何だよ、花菜弟。」



一度は閉められた扉を開けて、叫びながら出てきた崇大。


中野 神弥はゆっくり振り返る。



「【俺は…認めねぇ。】」


「……。」


「【花菜はお前なんかにやんねぇからな!】」



崇大…


あんた、キャラ変わってるよ…



「ふん」


「?」



頭上から聞こえた笑い。


見上げると中野 神弥が微笑みを浮かべていた。



「上等だよ。ぜってぇ花菜を俺のものにしてやる。」
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